
マイクロバイオーム農法へのオリヴィエ・シェニョンの想い
フランスの自然の中で釣りをしたりキノコを採ったりして幼少期を過ごしたシェニョンシェフ。
幾つかのレストランで経験を積み、初めて来日した時、日本のスーパーに並んでいる野菜や果物の形・色・サイズが常に均一なことに驚いたといいます。
シェフとして日本各地の食材生産地を視察するようになり、生産者と話す機会が増えたシェフが見たものは捨てられる規格外の野菜や果物でした。また、農薬のせいで毎年病気になっているという生産者さんの声も聞くようになりました。
食材を扱うシェフとして、また2児の父としても、この農業の状況を変えることはできないかと思うようになります。
そうした中でオリヴィエ・シェニョンが出会ったのが「マイクロバイオーム農法」。
常により良い食材を求めていたシェフは自然環境にも人の身体にも安心安全な食材を増やすことが可能なこの農法を推進しようと思い立ちました。
「マイクロバイオーム農法」とは?
厳選された乳酸菌とその代謝物を使って行われる農法が「マイクロバイオーム農法」。
本来、自然界に存在する微生物を使った環境再生型農業です。
日本では、現状99%が慣行農業といわれる化学肥料や農薬を使用する農業を行っており、農薬や除草剤、化学肥料を使用せず、土づくりに着目する有機農業は、国内ではわずか0.5%にとどまります(出所:農林水産省・生産局農業環境対策課資料)。
本来、土壌の中には数えきれない種類の微生物や菌が生息しています。しかし、農薬や化学肥料が土の栄養にとって重要な微生物や菌を激減させてしまい、土が痩せてしまいます。
一方、マイクロバイオーム農法は、土壌や植物など、自然界にいる微生物の力を最大限活かすことで土から育てるという、無農薬栽培手法の一種です。
野菜や果物の栽培のためには、特別な乳酸菌を土壌に撒くことで独自の微生物の生態系が生まれ、化学肥料や農薬を使わなくとも、害虫を寄せ付けない有機農業ができるという仕組みです。
また、鶏や鴨など家畜を育てる場合には、同様の乳酸菌を飼料に混ぜることにより、家畜の腸内環境を整えることを可能にし、常に健康な状況を保つことができるため、抗生物質等を使う必要がなくなります。
シェニョンシェフが目指す「マイクロバイオーム・ガストロノミー」
「マイクロバイオーム農法」で作られた食材はビタミン・ミネラル等の微量栄養素を豊富に含みます。この農法で作られた食材を最大限に使って調理することにより、「健康と長寿」をもたらす「マイクロバイオーム・ガストロノミー」が生まれます。
「食べることで私たちの身体は作られています。当然のことながら、健康も美容も食べることから始まっているのです」とシェニョンシェフは語ります。
これまでの取り組み

「銀の鴨」(青森県新郷村)代表の畑中さんはマイクロバイオーム農法を可能にする厳選された乳酸菌を餌に混ぜ、鴨に与えています。
「この餌を食べている鴨の成長速度は驚異的です。免疫力も当然強化されていると思います。鴨たちの顔つきが以前と全く違いますよ!また、成長速度だけでなく、赤身の具合もよくなり、味わいも格段に上がっています。採卵用の鴨にも与えていますが、産卵頻度が上がり、従来より長期間にわたり卵を産めるようになっています。日々、乳酸菌の力を感じますね」と35年間、鴨を飼育し続けている畑中さんが従来の餌との違いを語ります。
「銀の鴨」はフランス産の鴨と同じバルバリ種。ロオジエの定番の食材となっています。大切に作り上げられた希少な食材を慈しみながら、敬意をもって、シェニョンシェフはひと皿ひと皿を提供しています。

NPO法人ユアフィールドつくばさんは、農業と福祉を結びつけた「農福連携」に取り組み、障害のある方々と共に自然に寄り添った有機農業を実践しています。「マイクロバイオーム農法は土壌の微生物を活かし自然の力を引き出す点で、私たちが大切にしている価値観と一致している」と深く共鳴し、シェニョンシェフと共ににんじんジュースを開発しています。
「私たちはこれまでも化学肥料や農薬に頼らない有機栽培を行ってきましたが、マイクロバイオーム農法を取り入れることで、土壌がさらに豊かになり、野菜の品質や収量の向上が可能になることを期待しています。
私たちの畑で育てたにんじんでつくるジュースは、ロオジエさんをはじめ、広く一般の方にも提供する予定です。有機農業に微生物の力を加えることで、生産者にも消費者にも、そして何より大地にも優しい循環をさらに発展させていきたいと考えています。農場で働く障害のある方々も、この新しい挑戦に興味を持って参加しています。」

自動車部品を手掛ける株式会社シーヴイテックさんはフィンガーライムの栽培にも取り組んでいます。製造業で培ったノウハウをマイクロバイオーム農法によるフィンガーライム栽培にも生かしています。
「フィンガーライムの国内栽培はまだ事例が少なく、栽培技術も確立されていません。
そんな中、私たちはデータを活用し光合成量の最大化を目指すなど、最適な栽培条件の解明に取り組んでいます。
また、土壌微生物の力を活用するマイクロバイオーム農法にも挑戦を始めたばかりで、この革新的なアプローチがフィンガーライムの成長や品質にどのような恩恵をもたらしてくれるのか、とても期待しています。
まだまだ学びの途上ではありますが、一歩一歩着実に進みながら、国内でのフィンガーライム栽培の可能性を切り開いていきたいと思っています。」

日本で唯一マイクロバイオーム農法で酒米”吟風”を栽培している北海道・旭川市の安友夫妻。
すでにJAS有機米を作っている安友さんはマイクロバイオーム農法にも挑戦することで旭川に新たな風を吹き込んでいます。
「富久千代酒造さんの《鍋島》のために《吟風》を栽培できるだけでなく、シェニョンシェフと富久千代酒造さんの画期的なプロジェクトに参加できて本当に光栄です!」

夏にロオジエのキッチンにトウモロコシを届けてくれる「郷のきみ」の中平さんは100年以上続く青森県新郷村の農園にて「マイクロバイオーム農法」で新しい時代の農業をリードしています。
「農薬と肥料を使わなければ栽培は難しいと言われていたトウモロコシがマイクロバイオーム農法により、従来よりも1週間ほど早く収穫できました。
味も雑味がなくなり透き通った甘さに変わりました。この農法を続けることで、土壌環境が整えば、まだまだ美味しくなると思います」

温暖化の影響で世界的にカカオの生産量が減っている中、日本でもカカオを生産できると確信した「ジャパン・カカオ」(代表・佐藤さん)は宮崎県宮崎市でカカオ栽培に取り組んでいます。高品質な日本製のカカオ豆の生産を行うため、「いちごポタジェ株式会社」(代表・田口さん)の皆さんと協働して栽培や加工技術の開発に努め、将来的にはカカオ豆生産を通じた一次産業の発展で宮崎県をはじめとした日本国全体の輸出振興にも貢献したいという想いで活動しています。
「日本産のカカオ豆の生産にマイクロバイオーム農法を採用することで、シェニョンシェフのマイクロバイオーム・ガストロノミーと同様、健康と長寿をもたらすチョコレート製造を目指します!」
メディア掲載
有機農業の「次」の食材は? 三つ星シェフの挑戦|日本経済新聞
シェフ自らが模索する、環境再生型の農法。銀座の三つ星フレンチレストランのサステナビリティ|IDEAS FOR GOOD
食にまつわるすべてのことに持続可能な取り組みを提唱する|AdvancedTime
2025年SDGsに積極的に取り組む企業の活動・事例|0 Borders
トップガストロノミー「ロオジエ」のエグゼクティブシェフが取り組む環境再生型農法とは|食べログマガジン
オリヴィエ・シェニョンは協働してくださる生産者を募集しています
「もちろん、私ひとりでは何も変えることはできません。私と同じ想いを抱く人たちとともに日本に有機無農薬農業を広げ、自然環境と人の身体に最良の食材を増やしていきたいと思っています。マイクロバイオーム農法はそれを可能にすることができる手段のひとつです。興味がある生産者さんには是非トライしてもらいたいと思っています。私の料理を楽しんでくださるお客さまのために私は常に最高の食材を探し求めています。」
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